鉄道コレクションとは、トミーテックから発売されているジオコレのひとつのシリーズで、Nゲージサイズや1/80ナローの車両などがラインナップされています。そのままでは走行させることのできないディスプレイモデルである鉄道コレクション、略して「鉄コレ」とはどのような商品なでしょうか。ここでは販売方法やオプション製品などを含めて解説します。
鉄道コレクションの販売方法
トミーテック「鉄道コレクション」は、複数の販売方法が行われています。まず車両1両がブラインドパッケージに入っているパターン「レギュラーシリーズ」で、2005年に第1弾が発売され、執筆時点で一番新しいものが第28弾(2019年11月)となっています。ブラインドパッケージではおおよそ10種類の車両にくわえ、シークレットが1両といったパターンが多く、1両で編成をなすものから、数両集めないと編成を組めないものもあります。なお価格は400円〜1200円程度で、KIOSK限定といった販売場所を限定したシリーズもあります。
もうひとつがオープンパッケージ製品です。ブラインドパッケージと異なり、ほしい車両が手に入ることがメリットで、その多くは1両、2両、3両、4両、6両などのように、パッケージひとつで編成が組めるようになっています。なおこちらも数量や販売場所を限定したものがあります。価格はまちまちで、1両(連接)セット5800円、3両セット4500円、6両セット9000円などとなっています。
マニアックな車両が多い!鉄道コレクションの魅力
鉄道コレクションで最も特徴的なのは選ばれる車両たちです。その多くは、他社で立体化されていない車両であったり、JR各社や大手私鉄で活躍していた車両が地方私鉄に譲渡されたあとの姿を再現したもの、非冷房時代の姿を再現したものなど、マニアックなものが多いことです。その一部はグリーンマックスでキットとして発売されていたものの、現在では入手できない車両や、そもそも鉄道コレクションにしか存在しないといった車両も数多くラインナップされています。しかしながら、こうした車両たちのなかで鉄道コレクションの再販がない、あるいは少ない車両は入手困難となり、高値で取引されることもあります。
また、ブラインドパッケージには「フリーランス車両」として、オリジナルの鉄道会社や車体が含まれていることもあり、その派生シリーズとしてトミーテックオリジナルの「富井電鉄」なども種類を増やしています。なお富井電鉄シリーズには、1/80の車両をNゲージのレール軌間9mmに載せるナローゲージもラインナップされ、より幅の広いシリーズが展開されています。
走行できない?鉄道コレクションに含まれているものは何?
鉄道コレクションに使われている台車の車輪はプラスティック製で、そのままNゲージのレールに乗せても手で転がせる程度です。そこでトミーテックから、金属車輪を使った走行用台車やNゲージ用のパワーユニットで走行させるための動力ユニット(モーター)などが別売りされています。車両の長さによって用意する動力ユニットが変わりますが、鉄コレのパッケージに「対応台車、動力ユニット」が書かれているため、迷うことはないでしょう。
ちなみにオプションの走行台車には車輪と台車の基本パーツのみが含まれていて、台車の側面デザインはありません。台車側面は車両側に付属しているのでそれを利用するためです。車両によっては行き先方向幕のステッカーや、列車無線アンテナなどといった付属品があり、単品ブラインドパッケージ品には、展示用のレールが付属しています。
これら台車、動力ユニットを別途購入し、交換することで、通常のNゲージと同じように走行させて楽しむことができます。なお、動力ユニットは3400円〜4800円程度、台車は2両分(台車x2、車輪x8)で1000円程度となります。例えば6両編成の電車を動力化し走行可能とする場合を例に上げると、車両セット9000円、動力ユニット3400円、台車は5両分必要なので3パッケージとして3000円となり、その合計は15400円と、なかなかのお値段になります。
なお、そのままではプラスティック製でちょっと実感に欠けるパンタグラフも、対応品番が書かれているので交換してみるのもよいでしょう。パンタグラフは2個入りで700円程度で販売されています。
鉄道コレクションのクオリティは?
鉄道コレクションはオプションパーツを追加しない場合、安価な部類とも言えますが、代償としてちょっぴりクオリティに残念な部分もあります。まずひとつは無塗装プラスティックの質感です。いかにもプラスティックというべきか、そのもののため、「安物」といった感触を受けます。また、鉄コレはマニアックな塗色などが特徴ですが、塗り分けが甘かったり、塗装ムラや傷などが散見されることもあります。さらに前述のようにパンタグラフはプラスティック製で、開いた状態で固定されていて残念な印象です。
また、組み立てが残念な製品もあります。例えば写真の小田急4000型では、屋根が上手くはまっていません。車体から一度取り外し、裏側の余計なピンを削ったり、再組み立てを行うことできれいできますが、上手く行かない場合もあり、少し残念な印象です。
しかし、別売りのパンタグラフに交換したり、台車にこだわったり、腕に自身があるのであれば、分解して部分塗装を行うなど、工作の余地が残されているというポジティブな捉え方もできます。鉄コレを入手して、あれこれ工作のアイデアを考えるのも楽しい時間なのです。
このように鉄コレは完全な完成品を望まれる方には残念な印象をうける部分もあるのですが、そのままでもしっかり「模型」を楽しめるシリーズなのです。
かゆいところに手が届く「鉄コレ」手を加えればさらにグッド!
鉄道コレクションの素晴らしい点は、比較的安価に「マニアック」な完成済の鉄道模型車両が手に入ることです。オプションの走行化パーツを利用することでNゲージ化もできるため、走行も楽しめます。また、工作派は自信の手を加えることで、より実感的な模型にできるでしょう。
もっとも素晴らしいのは、これらマニアックな車両たちが手に入りやすいということです。反面、再販の無い車両は高値で取引されてしまうことから、希少となってしまった過去の製品たちを再販してほしいと願わざるを得ません。
カテゴリ:[特集 ]
著者:鉄道模型部 編集部